2019.09.19
2019年9月19日、長浜市西浅井町山門(やまかど)にある、奥びわ湖・山門水源の森を訪ねました。できるコトづくり制度の活動助成を受ける山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会(以下、会)の「山門水源の森 保全活動 環境改善 事業」を見学するためです。
奥びわ湖・山門水源の森一帯の地質・植生・昆虫などに関する調査を行った結果、多くの貴重種が確認されたそうです。そこで山門水源の森を次の世代に引き継ぐ会は、この豊かな自然環境を保全し活用するため2001年に設立されました。会は、滋賀県、長浜市、地元の森林組合、地元に住む皆さん、各種のボランティア団体などと協力しながら、活動を続けてきました。
できるコトづくり制度の助成金は、森林や湿地の保全活動をより効率的に行うための作業道作りに使われています。今回は副会長の村田良文さんが、森の作業道の案内をしてくださいました。人が一人すれ違える程度の幅の遊歩道を歩いていくと、車が通れるくらいの幅の真新しい道ができていました。これが現在整備中の作業道の始まりでした。
山を削って道を作っています。路肩が雨などで削られてしまわないように、要所要所で丸太を組み、八寸釘で打ち付けて敷き、土留めにしているそうです。
(写真提供:冨岡さん)
「丸太を敷いて釘で打ち付ける作業もたいへんなんですが、これをやらないと道は一年で崩壊します」と現場で作業をしていた冨岡明さん。作るだけではなく、守っていくための作業が重要だとわかりました。
「できるコトづくり制度の助成金は、道作りのための重機やキャタピラの付いた林内作業車の燃料と人件費に使っています。とてもありがたいです。作業道ができると、希少種の植物を守るための獣害防止ネットや波板を運ぶのにも使えますし、間伐した木を現場に放置しないで運び出しやすくなります」と村田さん。
会の理事でもある冨岡さんが小型パワーショベルを使って道作りを担当されています。「道を10メートル作るのに3、4日かかります。最初に木を伐採して、根っこを掘って取り除いてから道の幅を切り崩します。ただ、ヘアピン部分はどうしても切り通すのが深くなってしまい、補強も必要なので一か月掛ってしまいます」とのこと。慎重な道作りには本当に時間がかかるんですね。
村田さんが見ている赤いテープの巻かれた木は、アカガシと言います。大津祭の曳山の部材には、このアカガシが使われているくらい、堅い木材になるそうです。現在、部材に使えるくらいの太さと真っ直ぐなアカガシは、なかなか国内では見つかりません。そこで50年後に使えるように、この奥びわ湖・山門水源の森のアカガシを協力して育てていこう、ということになったそうです。「今年も5月に大津祭保存会の皆さんが来られて、緑色のプレートを取り付けたアカガシの手入れをされました。このアカガシを切り出す時のためにも、作業道が必要なのです」と村田さんは重ねて道の重要性を説明されました。
奥びわ湖・山門水源の森は、春は新緑、秋には紅葉が美しいそうです。この日も手入れされた森の道を歩くだけで爽快な気分になりました。
村田さんは「毎月第1・第3土曜日に行っている保全活動に参加してくださる方を募集しています。力のない子どもさんでも、チップを運んで遊歩道に撒いてもらうことが可能です。どんな方にも協力していただける作業はありますから、ぜひ力を貸してください」とおっしゃっていました。
活動やイベント予定のチェックや、ラインでの情報発信の登録(お友達登録)も、ホームページからできるので、アクセスしてみてください。
▼奥びわ湖・山門水源の森サイト
▼イベント「ブナと獣害防止ネットの観察会−紅葉はじまるブナの森で獣害防止を考える−」
ラインでの情報発信の登録(お友達登録)
ID検索:@793dnrhp
QRコード: