2024.08.23
2024年7月29日の月曜日、甲賀市市営住宅大原中団地集会所の「スマイル甲賀ほっとルーム」に伺いました。この活動は、できるコトづくり制度 活動助成1年目です。
「スマイル甲賀」は、甲賀市から許可を得て、この集会所で、県・市社会福祉協議会から助成を受けたりしながらさまざまな取り組みをしています。もともと、スマイル甲賀は、大原自治振興会(大原学区まちづくり協議会)の「見守りプロジェクト」として平成30年に設立されました。そののち対象者の範囲を甲賀地域とするために令和3年4月から大原自治振興会から自立されました。市営住宅やアパートの住民が自治会未加入で高齢者、ひとり親家庭が多いということに対応して月1回の「子ども食堂」、週2回の「寺子屋」、年10回の「きらきらサロン(自治会未加入の高齢者対象)」などの活動を続けておられます。
そして今年4月からは、できるコトづくり制度の助成を受けて、学校へ行きづらい子どもたちの居場所として、「スマイル甲賀ほっとルーム」を立ち上げたところです。月・水・金曜日、午前10時から午後3時まで開催しています。
このチラシは「できるコトづくり助成」ロゴマークを入れてくださっています。
普段はスタッフ1名と学習支援を担当する指導者(元教員)1名の2名程度で実施しているそうですが、今回は特別に4名のメンバーが集まってくださいました。スマイル甲賀 代表の井村さん、渡邊さん、大林さん、田畑さんです。
それ以外に、サロン運営に協力してもらっている、県社会福祉協議会の浅香さんが来てくださいました。種々の活動はそれぞれに地域とか各機関、学校などとの関わりを持ちながら進めておられるのがわかります。
子どもが来るのを待ちながら、4月からの「スマイル甲賀ほっとルーム」の経緯を伺いました。4月4日の開所式には、教育委員会や関係部局、中学校の校長先生、市社会福祉協議会とスタッフ全員が集まったそうです。地域からの期待が感じられますね。
それから5月の下旬に「学校へ行きづらかった」と、小学生のお子さんとお母さんが来所し、開催時間いっぱい滞在。その後、6月にも1日来て、お昼ご飯はカレーを作って食べたということです。
対応した指導者の渡邊さんは「いっしょに作る?と声を掛けたら、機嫌よく野菜を切るのを手伝ってくれましたよ。子ども食堂の月曜日は子どもも多くて、そういうのがちょっと苦手かもしれないと思ったので、子どもの少ない曜日に来てみたら?と誘ったら、その日に1度来てくれました。」とのこと。また代表の井村さんも「自分の気持ちのバロメーターを絵で描いて見せてくれました」などと、そのお子さんがこの場でくつろいでいる様子を教えてくれました。
ここでは勉強をしてもいいし、ゴロゴロしてもいい、Wi-Fiがあるのでゲームもできる。スタッフと料理やお菓子を作って食べてもいい、好きなことを気ままにマイペースでOK、という方針なので、心を開いてくれたのかもしれませんね。
また、指導者の大林さんは同じ甲賀市内の別の場所で、不登校の子どもたちの支援活動を独自で長く続けておられるそうで、「ここには金曜日に手伝いに来ています。」ということでした。
井村さんに「スマイル甲賀ほっとルーム」を立ち上げたきっかけを聞いてみました。
「先に、子どもの学習支援活動として、ここで寺子屋教室を始めたのですが、その時、渡邉さんが『学校に行けない子どもが多い』と教えてくれました。
それに、地域の中学校を訪問した時、校長先生から『学校に来づらい子どもが数名おります。その子たちを何とかしてあげたい』と熱い思いを聞きました。『学校に来られなくても、そういう子どもが行きやすい居場所があれば、そこへ行ける子もいる。』と。その情熱に打たれ、寺子屋教室の指導者とスタッフの皆さんもいっしょに『スマイル甲賀ほっとルーム』を立ち上げることになりました。
4月の開所から、子どもは誰も来ないのに、スタッフだけが来ている状態が続き、『やっていいのか?』『いや、開けることに意義があるんだ』と、自問自答しながら続けてきました。
子ども食堂や寺子屋は、家族との接点ができ、信頼関係ができて情報交換どの連絡もつくため、ほっとルームのためにも、活動して来てよかったです」。
また、子どもたちがここでパソコンのスキルアップもできる、ということをPRしたくて、市からの助成制度を利用しWi-Fiの設置もしているそうです。「今後はタブレットあるいは高機能パソコンを1台でも買いたいと思っています」と井村さんは、今の子どもたちに応えようと意欲的です。
とてもお元気な井村さんですが、もう80歳を超えておられると聞いて驚きました。この活動を必要とする子どもたちとその保護者にどうやって認知度を上げようか、と常に考えておられ、この日も「スマイル甲賀ほっとルーム」の終了後は、皆さんで地元小学校に出かけ、情報交換をして先生方との連携を深める予定だということでした。
できるコトづくり制度のスタート集会で出会った、同じように不登校や家からなかなか出られない子どもとつながりを作り出している、東近江市のみんなのもうひとつのおうち「キュルア」とも交流したい、とおっしゃっていました。このように、同じ制度を受けることで出会った団体が情報交換し、活動を高めあうことができたら、本当にうれしいことです。
この日は夏休みということもあり、子どもは来ませんでしたが、これから地域の子どものニーズに応じた居場所づくりを期待しています。