2021.07.20
2021年6月24日、平日の午後に長浜市鳥羽上町の常徳寺を訪問しました。できるコトづくり制度2021年度のはじめて助成1年目の活動「地域学童保育と集いの場」をTERAコミュニティー鳥羽上が開催しているのです。
鳥羽上町は70軒くらいの集落で、小学生は全部で11名です。低学年で学童の対象となるのは5名とのこと。そのうち今年1年生となったのは2名です。
TERAコミュニティー鳥羽上代表の井上恵子さんと庶務の中嶋綾子さんは、それぞれ1年生2名の母と祖母にあたります。
井上さんは「子どもを授かった時に『村の宝物や』と、とても喜んでもらえました。子どもが成長するにつれて、地域全体で子どもたちを見守り、育ててもらえるような環境を作りたいと思うようになり、TERAコミュニティー鳥羽上を立ち上げました。」と話します。
井上さんは、会場となっている常徳寺の坊守(住職の配偶者)さん。結婚を機に得度され浄土真宗本願寺派のお坊さんになりました。
2021年4月の入学以降、毎日お寺の一室を開放し、ご近所に暮らす高齢の女性が午後2時半から集まり、手芸教室やおしゃべりを始めます。これがサロンです。一人暮らしの方も複数おられ、サロンがない時はお互いの家に行きお茶をしていた、とのこと。ご高齢でもあり、体が動きにくくなって畑仕事にも出られなかったのが、このTERAコミュニティー鳥羽上に集まって毎日楽しく過ごすうち、畑にも出られるようになったそうです。
「デイサービスに行こうか、と迷っていたけど、元気になったから今のところはここに出てくることにしたんよ。」と、笑いながら教えてくださいました。
サロン開始後に学校から1年生の二人が帰ってくると、大人たちが笑顔で「お帰り!」と迎えます。子どもたちは宿題を済ませておやつを食べ、その後は手芸教室をのぞき大人と一緒に手芸を楽しんだり、子ども同士で遊んだりしてにぎやかに過ごします。地域の大人と子どもたちが、安心して集まれるサロンなのです。
5時になると、本堂に集合してお経を唱えます。お経は歌うようにとなえるので、合唱みたいな印象を受けました。子どもが座布団やお経をみんなに回すなど、言われないでよく動きます。見ているうちに自然と身に付くのかもしれません。
このお勤めが終わると解散です。
井上さんは「わたしたちのお寺では、夏休みに地域の子どもたちが集まって、ラジオ体操をした後、お勤めの練習をしたり、仏さまのお話を聞いたりする“日曜学校”が昔からあるのですよ。」と話してくれました。お寺が、以前から地域の子どもの暮らしに溶け込んでいた、ということもあるのですね。
もうひとつ、TERAコミュニティー鳥羽上の活動には、子ども食堂があります。月に1回程度、メニューはカレーと決めています。一度に作るのは50食くらいで、町の会議所に集まり一緒に食べるのは20人くらい。残りは申し込んだお宅まで届けるそうです。子どもは無料、大人は100円。サロンのメンバーもお手伝いをしてくださるそう。
参加者からは「地域の子どもから年配の方まで様々な年代の人たちが一堂に集まって“みんなで作ったものをみんなでいただく”とても貴重で幸せな経験ができて、本当にありがたい!」という声も聞かれるそうです。
(写真提供:TERAコミュニティー鳥羽上 井上さん)
今回訪問してみて、お寺を使うことが、とても有効な活動であると、よくわかりました。お寺という大きな建物に、宗派とは関係なく「願い」に賛同された地域の有志が集まり、小さい規模で地域のために動く。もしかするとお寺の原点とは、こういうことだったのかもしれないと思いました。
TERAコミュニティー鳥羽上の皆さん、これからも無理なく長く活動をお続けください。