滋賀県内で活動する団体に、コープしがが活動資金を助成します。

できるコトづくり制度

滋賀県内で活動する団体に、コープしがが活動資金を助成します。

2023.11.01

活動報告

「街道文化を百年先の次代へつなぐ 目川立場復活プロジェクト」くらすむ滋賀

2023年10月22日の日曜日、お昼前の時間帯に栗東市岡地区にある、ほっこり庵に伺いました。こちらで活動助成1年目のNPO法人くらすむ滋賀の「街道文化を百年先の次代へつなぐ 目川立場復活プロジェクト」の一環である、ほっこり庵復活イベントが、今日行われるのです。
 
くらすむ滋賀の活動のようす画像 岡の標識 
 
ここは旧東海道沿いにある町で、江戸時代は宿場と宿場の間に設けられた「立場(たてば)」として、街道を通る人たちが休憩する場所でした。この岡(おか)には、元伊勢屋・小島屋、京伊勢屋の三軒の田楽茶屋が並び、そこで出されていたのが豆腐田楽と菜飯(なめし)のセットで、隣りの地区の目川との境に出店したことから「めがわ田楽」と呼ばれるようになり、安くて美味しくて腹持ちがいいと旅人に大好評となり全国に広まったそうです。
 
現代にも伝わる豆腐田楽の発祥の地は、岡地区の茶屋とのこと。地元の皆さんは誇りにしておられます。
 
しかし、東海道も明治以降は鉄道や自動車が移動手段の中心になったために、宿場や立場も衰退し、今となっては岡地区でも めがわ田楽を提供するようなお店は一軒も残っていません。
 
そんなめがわ田楽を復活させたのが、岡自治会と、めがわ田楽保存会の皆さんでした。平成20年(2008年)岡自治会で建てた、ほっこり庵で、めがわ田楽を提供する活動を始めたのです。ただ、会員の高齢化などで中断し、ほっこり庵も使われなくなっていました。
 
くらすむ滋賀の活動のようす画像 くらすむ滋賀 竹山理事長 
  
NPO法人くらすむ滋賀(以下、くらすむ滋賀)の理事長 竹山 和弘さんは、
「私たちは、郷土の誇りである めがわ田楽を復活させようと、めがわ田楽保存会の皆さんから料理を教わり、レシピを完成させました。地域の歴史を知ろう、と栗東歴史博物館の学芸員 中川敦之さんを講師として『田楽の里 岡の歴史を知ろう』講座を開催。東海道や目川立場、田楽のことを教えてもらいました。その講座資料をパネルにして壁に飾ってあります。
 
くらすむ滋賀の活動のようす画像 ほっこり庵の壁の、めがわ田楽の歴史を示すパネル 
 
今日は、地域の方、メンバーの近しい人にお集まりいただきました。めがわ田楽を食べて、値段はどうか、味はどうかなど、ご意見をお聞きして今後の参考にしたいと考えています。」と挨拶されました。
 
くらすむ滋賀の活動のようす画像 元めがわ田楽保存会会長の山本己代子さん 
 
それから、元めがわ田楽保存会会長の山本己代子さんから

「ここ、ほっこり庵は、平成29年に閉めました。くらすむ滋賀の皆さんがこのように復活させる、と動いてくださってうれしいです。」ともご挨拶がありました。
 
くらすむ滋賀の活動のようす画像 めがわ田楽の定食 
 
くらすむ滋賀の木村さんからは、「味噌は、栗東市六地蔵地域の梅の木味噌、(六地蔵も立場だったそう)、米とお芋は、メンバーのところで作ったものです。できるだけ地元のものを使おうと思っています。他にも、柿なますの中の生キクラゲは栗東の工場で作られているもので、田楽の豆腐は何種類か試した中で、コープの『おいしがうれしが』の豆腐が固さもお値段もちょうどよかったんで選びました。」とのこと。お聞きしてなんだかうれしくなりました。
 
お話が終わったら、温かな めがわ田楽の定食が出されました。豆腐はある程度しっかりして、崩れません。田楽味噌は甘くて豆腐との相性は抜群です。菜飯に入っているのは塩漬けの大根の葉で、シャキシャキと歯ざわりもいいものでした。小鉢の柿やサツマイモが季節を感じさせてくれます。メインは肉でも魚でもなく豆腐だというのに、食べ応えがあって大満足です。
 
お向かいに座られた、元めがわ田楽保存会会長の山本さんは「この大根葉、最初は間引いて、次は大根から取って、刻んで塩に漬けます。家庭でもご飯に混ぜておむすびにして畑仕事などに持って行っていたお宅もありました。」と、めがわ田楽と菜飯が地元の各家庭でずっと受け継がれてきたことを教えてくれました。
このイベントが終わって皆さんが帰られてから、少し竹山さんとメンバーにお話を伺いました。
 
「ちょうど一年前、ここがずっと使われていない、なんとかならないかと、岡の前の自治会長さんと話をしてて、トントン拍子に進んだのです。でも、できるコトづくり制度の助成金がもらえたからこそ、こうして進めることができました。本当にありがたいです。」
 
「来年オープンに向けて準備を進めています。ほっこり庵は定員が12名で、2回転で24名が限界です。予約は4名から受付けます。この先、バイパス道路ができるので交通量も減って東海道を歩く人が増えると見込んでいます。そうなればテイクアウトで田楽と菜飯のおにぎりだけ売るとか、カフェとしての営業もありだな、などと考えています」
 
くらすむ滋賀の活動のようす画像 ほっこり庵の店頭にて、くらすむ滋賀の皆さん 
 
皆さんの今後の計画などを聞いて、昔、東海道で繁盛していた茶屋の面影が見える気がしました。ここ、ほっこり庵で おいしいめがわ田楽が復活し、街道ウォーカーや地元の方が集う場が復活するのを楽しみにしています。